第39回(令和7年度)全国作業環境測定・評価推進運動 6月1日から準備期間となります(最優秀「標語」決定!)
(公社)日本作業環境測定協会では、作業環境測定の実施率の向上と普及を目的に、昭和62年度から「作業環境測定・評価推進運動」を実施してきました。
令和7年度も測定・評価の促進を図るため、推進運動用の「標語」を募集し、全国から多数の応募作品が集まりました。応募作品は、本年3月7日に開催された常任理事会で、厳正・公平な審査の結果、次のとおり最優秀賞が決まりました。
最優秀賞の標語は、本年6月1日から始まる準備期間、9月1日から30日までの本月間に使用されるポスター、リーフレットに刷り込まれ、全国に配布されます。
*ポスター、リーフレットは、こちらからご購入いただけます。(リーフレット立ち読み [2.40MB])
受賞作品 | 受賞者 | |
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最優秀賞 | 作業環境測定は未来への投資 職場改善 安心職場 | 大滝 博之/(一財)全日本労働福祉協会東北支部 |
優秀賞 | 保護具の前に作業環境管理 測定評価を改善に活かそう | 安藤 弘 |
作業環境測定で実現しよう! 安心・安全、健康職場 | 清原 佑介/(株)サン・テクノス | |
佳作賞 | (受賞者名のみ) | 阿久津 正敏/(株)那須環境技術センター 福田 周史/日鉄テクノロジー(株)瀬戸内事業所 |
(以上、敬称略) |
第39回(令和7年度)全国作業環境測定・評価推進運動 実施要綱
1 趣 旨
(1) | 近年、事業場に新たな原材料、化学物質等が早いテンポで導入され、これらを用いる作業にかかるリスク管理の対応が求められているところ、令和6年4月から、化学物質の自律的管理にかかる関係省令の規定が全面施行されました。これは、これまで個別の省令で規制されてきた特定化学物質、有機溶剤、鉛、粉じん等(以下、「特別則規制物質」と略記。)以外で、国がGHS分類で危険有害物に該当するとみなしたすべての化学物質について、事業者にこれらを取り扱う作業のリスクアセスメントと労働者のばく露の最小化を義務付けたものです。
その対象は、令和7年4月1日現在約1,600物質ですが、この数年で約2,900物質(以下これらを「リスクアセスメント対象物」と略記。)に上ることが予定されています。 そして、これらのうち、国が濃度基準値を定める物質(最終的には約800物質が想定されています。)については、事業者は、労働者のばく露を濃度基準値以下に管理することが義務付けられました。 また、リスクアセスメント対象物に係るリスクアセスメントの実施と労働者のばく露の最小化にかかる業務の管理を事業場内で担当する者として「化学物質管理者」が規定され、さらに、事業場の化学物質管理を支援する外部専門家として「作業環境管理専門家」及び「化学物質管理専門家」が導入されました。 |
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(2) | 一方、特別則規制物質については、従来通り特別則等の規定が適用され、労働安全衛生法第65条に規定する指定作業場について作業環境測定士が行う測定と、同第65条の2に規定する事業者による測定結果の評価とそれに基づく必要な改善が求められますが、令和6年4月1日からは、作業環境測定の結果の評価が第3管理区分となった単位作業場所について、第3管理区分からの改善が事業者自らでは困難な場合には、事業者は、「作業環境管理専門家」に作業環境の改善の可否、改善方法等について意見を聞き、その意見に基づいて、作業環境改善措置を実施し、それでも第3管理区分であるときは、個人サンプリング測定等を実施して、その結果に基づき労働者に適切な呼吸用保護具を使用させることとなりました。 |
(3) | リスクアセスメント対象物に係るリスクアセスメントでは、測定を行うことなく一定の仮定の下に作業条件等に関するデータを用いてリスクを推計する方法も許容されていますが、国は、濃度基準値が設定される物質にかかるリスクアセスメントについては、推計法などで労働者のばく露が8時間の平均で濃度基準値の2分の1程度を超えると評価された場合は、「確認測定」として、個人サンプラーを用いて労働者の呼吸域で測定を行う方法などにより、実際に測定を行うべきとしています。 |
(4) | また、特別則が改正され、これまで測定実施者についての資格が規定されていなかった[1]金属アーク溶接等作業における有効な呼吸用保護具選定のための溶接ヒューム濃度の測定、[2]第3管理区分の事業場で改善が困難と判断された場合における有効な呼吸用保護具選定のための「個人サンプリング測定等」及び[3]確認測定を含むリスクアセスメント対象物に係るリスクアセスメントとしての測定については、測定の精度管理を確保する必要から、令和8年10月からは、厚生労働大臣が定める「個人ばく露測定講習」を修了した作業環境測定士が行うものとなる予定です。 |
(5) | 「公益社団法人日本作業環境測定協会」は、作業環境測定及びその結果の評価に基づく作業環境の改善が、有害物質を取り扱う労働者の健康障害を防止し、快適な職場の実現を図る基本であることから、これについて事業主をはじめ事業場関係者の皆様の認識を深めていただくため、厚生労働省の後援を頂き昭和62年から毎年、「全国作業環境測定・評価推進運動」を行ってまいりました。
その第39回を迎える本年度は、前述のように化学物質の自律的管理にかかる法令諸規定が施行された2年目に当たります。この間リスクアセスメント対象物の数が大きく増え、事業場における作業環境測定や評価の対象は、これまでの特別則規制物質にとどまらず、リスクアセスメント対象物にかかる確認測定を含むリスクアセスメントとしての測定の比重が増えると予想される状況にあります。これらの測定は、(4)で述べたように、令和8年9月末までは、測定実施者について法令に規定はありませんが、測定には専門知識及び技術が必要であり、事業者が適切な自律管理を実施するためには、現実には作業環境測定士に依頼することが必要です。 |
(6) | このように、化学物質の自律的管理については、昨年4月に施行されたものの、測定関係を含め非常に複雑な規制となっていることもあり、事業者等関係者にはいまだこれらの理解が進んでいない状況が見られます。
このような中で、作業環境測定士は、これまでの指定作業場の測定を実施する役割に限定されることなく、専門人材として化学物質の自律的管理に係る法令の内容の事業場関係者への説明・広報も含めて自律的管理の浸透のために広い役割を期待されています。 このような状況にかんがみ、本年度は、協会と会員作業環境測定機関・自社測定事業場及び作業環境測定士が先頭に立って、行政及び関係者との連携のもとに、事業場に対し、[1]法定作業環境測定の完全実施を促すことを基本としつつ、[2]化学物質の自律的管理にかかる法令の内容と事業場の実施事項の周知、[3]事業場の実施事項のうち、確認測定を含むリスクアセスメントにおける測定の実施などの専門的な事項及び事業場の化学物質管理者の専門的支援などについて作業環境測定士及び作業環境管理専門家、化学物質管理専門家、認定オキュペイショナルハイジニスト等の積極的活用を促すこと、に力点を置いて展開いたします。 |
2 実施期間
令和7年9月1日から9月30日
なお、令和7年6月1日から8月31日までを準備期間とします。
3 推進運動の標語
作業環境測定は未来への投資 職場改善 安心職場
4 主催者
公益社団法人日本作業環境測定協会〔本部及び全国12支部(北海道、東北、北関東、京葉、神奈川、北信越、京滋、大阪、兵庫、中国、四国及び九州の各支部、分会)において展開する。〕
5 後 援
厚生労働省、中央労働災害防止協会、建設業労働災害防止協会、陸上貨物運送事業労働災害防止協会、港湾貨物運送事業労働災害防止協会、林業・木材製造業労働災害防止協会
6 協 力
一般社団法人日本鉄鋼連盟、一般社団法人日本化学工業協会、公益社団法人日本保安用品協会、日本労働衛生工学会
7 実施者
全国の事業場
作業環境測定士、作業環境測定機関、自社測定事業場
8 主催者の実施事項
(1) | ポスター、リーフレット等の作成・配布による測定の意義や関係法令の改正等の広報(本部及び支部) |
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(2) | 機関誌、ホームページ、マスコミ等を通じての広報活動(本部及び支部) |
(3) | 関係事業場等に作業環境測定・評価及び作業環境の改善と、化学物質等のリスクアセスメント手法としての測定の重要性の理解と実践、化学物質の自律的管理における作業環境測定士等専門家の活用を促すための講演会、講習会、説明会、相談会等の開催(支部) |
(4) | 国公立大学法人及び私立大学等に対する法令に基づく作業環境測定及び評価の理解の促進と支援(本部及び支部) |
(5) | 各都道府県労働局、労働基準監督署並びに中央労働災害防止協会及び業種別労働災害防止協会、一般社団法人日本化学工業協会等の業種別団体、独立行政法人労働者健康安全機構都道府県産業保健総合支援センター等との連携(本部及び支部) |
9 作業環境測定機関として実施する事項
(1) | 作業環境測定未実施事業場に対して実施の勧奨を行う。 |
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(2) | 関係事業場に対して8(1)のリーフレット等を利用して作業環境管理にかかる法令改正事項等の周知を図るとともに、リスクアセスメント対象物にかかる事業者によるリスクアセスメントにおける作業環境測定士、作業環境測定機関の積極的活用を促す。 |
(3) | 委託測定事業場に対して常に適正な作業環境測定・評価の実践の重要性の理解を促すとともに、リスクアセスメント対象物にかかる化学物質管理等について適宜支援することにより、その信頼と満足を得るように努める。 |
(4) | 本部が実施する総合精度管理事業への積極的な参加、内部精度管理の励行及び本部・支部の研修への参加等を通じて、常に技量の維持に努める。 |
(5) | 測定機器の点検整備、特にサンプリングポンプ、流量計の点検・整備の定期的な実施及び相対濃度計の整備・較正の定期的な実施を励行する。 |
10 自社測定事業場の実施事項
(1) | 作業環境測定基準、作業環境評価基準等の関係法令の改正内容について確実な理解を図るとともに、これらに基づく作業環境管理対策の見直しを行う。 |
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(2) | 作業環境測定結果の評価に基づく作業環境の改善の的確な実施を図る。 |
(3) | 構内協力事業場等に対し、適宜作業環境測定、作業環境管理の推進を促すとともに、必要に応じて支援を行う。 |
(4) | リスクアセスメント対象物を事業場で製造しまたは取り扱っている場合には、リスクアセスメントの実施及び労働者のばく露の最小化対策の実施に作業環境測定士を参画させる。 |
(5) | 衛生委員会にできる限り作業環境測定士を参加させる。 |
(6) | 作業環境管理に関して作業環境測定士と事業場内産業保健関係者(産業医、衛生管理者等)との有機的な連携の確立に努める。 |
(7) | 測定機器の点検整備、特にサンプリングポンプ、流量計の点検・整備及び相対濃度計の整備・較正の定期的な実施を励行する。 |
(8) | 本部が実施する総合精度管理事業への積極的な参加、内部精度管理の励行及び本部・支部の研修に参加する等により、常に技量の維持に努める。 |
11 その他事業場の実施事項
(1) | 指定作業場等にかかる作業環境測定の作業環境測定機関への委託を励行するとともに、当該測定結果については作業環境測定機関との十分な意思疎通を確保し、適正な作業環境改善の実施につなげる。 |
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(2) | 作業環境測定及びその結果の評価及びこれに基づく改善措置について衛生委員会における審議事項として取り上げ、実効あるリスク管理につなげる。 |
(3) | 8(1)のリーフレット等の利用、作業環境測定機関等の積極的活用により、作業環境管理及び化学物質の自律的管理にかかる最近の法令の改正等および必要な対応について確実な理解と実践を図る。 |
(4) | 溶接ヒュームに係る測定については、事業場に専門的能力を有する者がいる場合を除き、作業環境測定機関に依頼する。 |
(5) | 第3管理区分が改善されない単位作業場所については、法令に基づき作業環境管理専門家に意見を求め、必要な対応を行う。 |
(6) | リスクアセスメント対象物を事業場で製造しまたは取り扱っている場合に、リスクアセスメントの実施及び労働者のばく露の最小化について事業場内で対処できない場合は、作業環境測定機関に依頼する。 |
全国作業環境測定・評価推進運動のお問い合わせ先
公益社団法人 日本作業環境測定協会 情報・出版部
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