1.公益社団法人日本作業環境測定協会認定オキュペイショナルハイジニスト制度の趣旨
我が国における労働安全衛生管理は、規制を中心とした従来からの管理に加えて、事業者が行うリスクアセスメントおよびその結果に基づくリスクマネジメント等の自律的な管理を推進する方向に展開している。この新たな展開においては、安全衛生管理のうちのオキュペイショナルハイジーンの分野において、事業者が行うリスクアセスメントおよびその結果に基づくリスクマネジメントを支援することのできる高度の実務家・専門家の重要性が一般に認識されている。
このような状況に鑑み、公益社団法人日本作業環境測定協会(以下、「日測協」という。)は、一定の手続きを経て、「労働者の福祉と健康の保持並びに社会の安全を目的として、労働環境における健康に危害を及ぼす要因を的確に予測し、認識し、評価し、及び管理することができる知識及び技術を有する者」について、「日測協認定オキュペイショナルハイジニスト(以下、「認定ハイジニスト」という。)」として認定するものである。
2.認定ハイジニストの能力
本制度においては、認定ハイジニストは、下記(1)、(2)、(3)、(4)および(5)に示す専門的な能力と包括的な視野とを有し、必要に応じて労働安全衛生法に規定する事業者、総括安全衛生管理者、統括安全衛生責任者、安全管理者、衛生管理者、産業医等及び作業環境測定法に規定する作業環境測定士その他関係者と効果的な連携及び協力ができる能力を有することを想定する。
(1) |
化学物質等(粉じんを含む。)に関し、
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(2) | 物理的因子に関し、 温熱条件、異常気圧、騒音及び超音波、振動、電離放射線、非電離放射線等の物理的因子についての適切な管理について、事業者等の依頼等に応じて適切な指導、助言等ができること。 |
(3) |
生物的因子に関し、
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(4) | 人間工学的因子に関し、 職場における作業態様(重筋-筋力作業、反復作業、VDT作業等)に関する人間工学的因子(作業姿勢、作業強度、作業時間等)についての適切な管理について、事業者等の依頼等に応じて適切な指導、助言等ができること。 |
(5) |
一般環境、地球環境又は公衆衛生等に関し、
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3.資格の認定
認定ハイジニストの資格の認定は、日測協会長が別に委嘱するオキュペイショナルハイジーンに関する専門家及び公益を代表する学識経験者等から構成される「オキュペイショナルハイジニスト認定・更新審査委員会」(以下、「認定委員会」という。)の議を経て決定し、この資格を認定された者には認定証を交付する。
4.認定の基準
認定を受けようとする者は、認定申請の時点で次に掲げる要件のすべてに該当していなければならない。下記イ、ロおよびハの事実は提出された書面をもって証する。
イ | 第1種作業環境測定士、労働衛生コンサルタント(衛生工学または保健衛生)、衛生工学衛生管理者、第1種衛生管理者、産業医その他認定委員会の審議を経て日測協会長がこれらと同等以上と認める資格を有すること。 |
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ロ | 作業環境管理その他の労働衛生管理に関して5年以上の実務経験を有すること。 |
ハ | 理工学・医学系等の学士の称号を有すること、その他認定委員会の審議を経て日測協会長がこれと同等以上と認める条件 [107KB]を満たすこと。 |
ニ | 日測協が実施する「認定オキュペイショナルハイジニスト養成講座」(以下、「ハイジニスト養成講座」という。)を修了して93単位を取得していること。 |
ホ | 日測協が実施する「認定オキュペイショナルハイジニスト評価試験」(以下、「評価試験」という。)に合格した後、2年を超えていないこと。 |
5.認定オキュペイショナルハイジニスト評価試験
評価試験については、認定オキュペイショナルハイジニスト評価試験要綱に定めるところによる。
6.認定資格の更新
- 認定資格は5年間有効とし、認定資格の更新を行わない者は、5年間をもって資格を失う。
- 資格の更新を希望する場合は、日測協会長にその旨を申請する。
- 日測協会長は、認定資格の更新申請を受けたときは、認定委員会の議を経て更新の是非を決定する。
- 更新を受けるためには、認定証の有効期間(認定証の交付日から5年以内)に下記の基準による評点の合計が100点以上とならなければならない。
- 評点の審査は、原則として提出された書面をもって行う。
資格更新時にやむを得ざる理由により更新手続きができなかった者の取り扱いは、認定委員会の審議に基づき日測協会長が判断する。
評点基準
カテゴリー | 内 容 | 評 点 | 評点取得の必須または上限の条件について |
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Ⅰ | オキュペイショナルハイジーン(労働衛生)分野における活動(フルタイムを基本とするa)) | 10/年(フルタイム)― | 50(上限) |
Ⅱ | 認定委員会が認定する講習等の技術研修の受講、あるいは認定委員会が認定する学会等の学術集会への参加b) | 0.5/時間 | 30―(30点取得は必須・取得上限はなし) |
Ⅲ | 認定委員会が認定する学術雑誌等c)への論文の掲載 | 査読付筆頭著者:4/編 査読付共著者:2/編 査読無著者:1/編 | 50(取得上限) |
Ⅳ | 認定委員会が認定する学会等の学術集会d)における口頭発表 | 口頭発表:2/件 | 20(取得上限) |
Ⅴ | 認定委員会が認定する講習・学術集会等における講師e)(社内教育における講師は除く)f) | 1/時間 | 20(取得上限) |
Ⅵ | 認定ハイジニストに関する委員会への参画 | 1/年 | 20(取得上限) |
a 活動がフルタイムでない場合
カテゴリーⅠの活動がフルタイムでない場合、その活動時間をフルタイムに換算して評点とする。(たとえば、活動時間が半日程度であれば5年)
b カテゴリーⅡの評点にかかわる技術研修や学会等への参加
技術研修(実施主体) | 評点の対象として選定する理由 |
---|---|
ブラッシュアップ講習(日測協) | 作業環境測定士を対象に、技術、法令等の変化にキャッチアップすることを目的として行う研修。特別講演、パネルデイスカッション等で構成し、その時々のタイムリーなテーマを選定し、専門家が講師を担当するので、適当である。 |
中央シンポジウム(日測協) | 作業環境測定評価推進運動の一環として本部が企画して行う。特別講演、パネルデイスカッション等で構成し、その時々のタイムリーなテーマを選定し、専門家が講師を担当するので、適当である。 |
新任あるいは中堅作業環境測定士講習(α・β・γコース)(日測協本部) | 作業環境測定士として必要とされる知識を取得するため適当である。 日測協本部が主催する標記講習は、生涯を通して一回限り評点を認めることとする。 |
コンサルタント専門研修会(日本労働安全衛生コンサルタント会) | 日本労働安全衛生コンサルタント会が例年実施するコンサルタントのための「労働衛生研修会」。講師は専門家であり、また内容的にも適切と考えられる。 |
日測協のほか、日本労働安全衛生コンサルタント会、中央労働災害防止協会、都道府県産業保健推進センターその他の関連団体が主催するオキュペイショナルハイジーン分野の研修のうち、認定委員会の認定したもの(そのつど審査する) | 候補となる研修は、日測協が積極的に発掘に努めるほか、更新認定を目指す者は、適当と思われる研修会について評点の対象とする認定を、日測協に申請することができるものとする。認定申請が行われた場合は、日測協は原則として、認定委員会に意見を聞くものとする。 |
AIHA等国外の研修機会 | |
日本作業環境測定協会学術大会(旧名称:作業環境測定研究発表会)、日本労働衛生工学会、日本産業衛生学会 | いずれも歴史ある学術大会(研究発表会)や学会であり、適当である。 |
IOHA、AIHA、その他認定委員会が認定する学会等 | 候補となる学会等は、日測協が積極的に発掘に努めるほか、更新認定を目指す者は、適当と思われる学会等について評点の対象とする認定を、日測協に申請することができるものとする。認定申請が行われた場合は、日測協は原則として、認定委員会に意見を聞くものとする。 |
c カテゴリーⅢの評点にかかわる学術雑誌等
『労働衛生工学』『Industrial Health』におけるオキュペイショナルハイジーン分野の論文、『Journal of Occupational and Environmental Hygiene』その他認定委員会が認定する学術雑誌等。
巻頭言、随筆、紹介文、座談会における発言等は対象とならない。
d カテゴリーⅣの口頭発表の評点にかかわる学会等
学会等(実施主体) | 評点の対象として選定する理由 |
---|---|
日本作業環境測定協会学術大会(旧名称:作業環境測定研究発表会)、日本労働衛生工学会、日本産業衛生学会 | いずれも歴史ある学術大会(研究発表会)や学会であり、適当である。 |
IOHA、AIHA、その他認定委員会が認定する学会等 | 候補となる学会等は、日測協が積極的に発掘に努めるほか、更新認定を目指す者は、適当と思われる学会等について評点の対象とする認定を、日測協に申請することができるものとする。認定申請が行われた場合は、日測協は原則として、認定委員会に意見を聞くものとする。 |
e カテゴリーⅤの講師を務めた際の評点にかかわる技術研修や学会等
技術研修(実施主体) | 評点の対象として選定する理由 |
---|---|
ブラッシュアップ講習(日測協) | 作業環境測定士を対象に、技術、法令等の変化にキャッチアップすることを目的として行う研修。特別講演、パネルデイスカッション等で構成し、その時々のタイムリーなテーマを選定し、専門家が講師を担当するので、適当である。 |
中央シンポジウム(日測協) | 作業環境測定評価推進運動の一環として本部が企画して行う。特別講演、パネルデイスカッション等で構成し、その時々のタイムリーなテーマを選定し、専門家が講師を担当するので、適当である。 |
新任あるいは中堅作業環境測定士講習(α・β・γコース)(日測協本部) | 作業環境測定士として必要とされる知識を取得するため適当である。 |
コンサルタント専門研修会(日本労働安全衛生コンサルタント会) | 日本労働安全衛生コンサルタント会が例年実施するコンサルタントのための「労働衛生研修会」。講師は専門家であり、また内容的にも適切と考えられる。 |
日測協のほか、日本労働安全衛生コンサルタント会、中央労働災害防止協会、都道府県産業保健推進センターその他の関連団体が主催するオキュペイショナルハイジーン分野の研修のうち、認定委員会の認定したもの(そのつど審査する) | 候補となる研修は、日測協が積極的に発掘に努めるほか、更新認定を目指す者は、適当と思われる研修会について評点の対象とする認定を、日測協に申請することができるものとする。認定申請が行われた場合は、日測協は原則として、認定委員会に意見を聞くものとする。 |
AIHA等国外の研修機会 | |
日本作業環境測定協会学術大会(旧名称:作業環境測定研究発表会)、日本労働衛生工学会、日本産業衛生学会 | いずれも歴史ある学術大会(研究発表会)や学会であり、適当である。 |
IOHA、AIHA、その他認定委員会が認定する学会等 | 候補となる学会等は、日測協が積極的に発掘に努めるほか、更新認定を目指す者は、適当と思われる学会等について評点の対象とする認定を、日測協に申請することができるものとする。認定申請が行われた場合は、日測協は原則として、認定委員会に意見を聞くものとする。 |
f カテゴリーⅤの講師
カテゴリーⅤの講師は、外部から講師を依頼されたものを対象とし、依頼状等それを証明できる書類を提出すること。
なお、社内教育等、自社やグループ会社等で実施される講習の講師は、カテゴリーⅠのオキュペイショナルハイジーン(労働衛生)分野における活動に該当する。(CIHの基準と同等とする)
附則 本規程は平成22年1月1日から施行する。
附則 本規程は平成25年4月1日から施行する。
附則 本規程は令和2年7月15日から施行する。
附則 本規程は令和5年1月31日から施行する
附則 本規程は令和5年4月21日から施行する。
附則 本規程は令和6年4月1日から施行する。